中咽頭がん患者の体験談(1) 2009.3.15

 私は76歳です。中咽頭がんを発症して、術後3年半になります。抗がん剤を1週間ごとに4回の投与を受けながら、放射線治療を受けました。3ヶ月入院しましたが、殆んどは放射線治療のためでした。

 治療を受ける前に手術が良いか放射線治療が良いか、を聞かれました。メリット・デメリットを考えて放射線治療を選びましたが、あとで申し上げるようにその後遺症も出ました。

 私ども皆さんは頭頸部というところに癌が出来ているわけです。先生の説明によると、頭頸部というのはノドと鼻と口と顎と耳を総称して、頭頸部というようです。私はノドの奥の中咽頭癌ですが、私が入院したときは下咽頭癌の人が非常に多くて、舌癌の人は少なかった。お酒を飲んだり、タバコを吸っているとなりやすいと言われているようです。

 私の話としては、発症時期・治療方法・成人病センターに入院してから退院するまで・その後の後遺症・顎の骨の骨折による入院(O歯科大学)・退院後のPET検査(ブドウ糖を注入して、どこに癌があるかを検査するもの。保険1割負担で1万円かかった)についてお話します。

 退院するまでは痛み止めの薬を飲んでいましたが、退院してからは飲んでいません。毎日新聞に「癌50話」ということで記事が載っていますが、成人病センターの放射線治療科医長(I先生)が癌治療には化学療法・化学放射線療法・放射線療法・手術の4つがあると書かれています。私は化学療法と放射線療法を混ぜた化学放射線療法を選びました。放射線は35回(休日を除いて毎日)かけて70グレーかけました。

 入院前の状態は、毎朝全身が非常にだるく、肩こりがあって治らないという前兆現象がありました。これが半年ほど続きました。或る日車の運転をするとき、バックミラーをパッと見たら、左耳の下のリンパがプクッと2cmくらい膨れていました。これはおかしいというので近くのN病院の内科に行って、院長先生に診てもらいました。

 そうしたら「これは、どこか怪我したのではないか?怪我するとリンパが腫れることがあるから」と簡単に言われました。とりあえず痛み止めをもらって飲んだのですが、それを飲むと、翌日頭がふらふらしました。それで先生に言って、外科で細胞診を受けました。3日後に病院に行くと、「癌と癌ではない場合の中間の数値が出ている。うちでは分からないので、N病院か成人病センターに行ってくれ」と言われました。それで名前の通っている成人病センターを紹介してもらいました。

 紹介状を持って来た日は、手術日で医師の皆さんが居られなかったけれど、たまたまS先生が居られて診てくれました。そして細胞をとらせてほしい、ということと「奥さんを連れて来なさい」と言われました。

 数日後家内と行ったのですが、はっきりしないので、もう一度細胞診をさせてほしいというので、遣ってもらいました。数日後伺うと「悪性腫瘍に間違いないので、すぐ入院手続きをしてください」と言われました。入院後放射線か手術か、どちらの治療方法を取るかの説明を受けて、放射線を選びました。

 一番困ったのは、35回の照射の中ごろになって、それまでは何ともなかったのに、痛みがひどくなり、食べ物が食べられなくなったことでした。初めは痛み止めで何とかなりましたが、最後は食事が 摂れなくなって、鼻から管を通して経管食に変えて、放射線の治療を続けました。

 しかし2ヶ月ちょっとした頃から口内炎とか色々な症状が出て来て、もう口が痛くて何も飲めないし、どうにも出来ないということ、また放射線を当てたことで暑くて暑くて、夜眠れないので氷袋を(ノドの上に)当てていましたが、放射線治療を受けた人は、中咽頭癌に限らず皆同じような症状を示していました。

 その後、水も徐々に飲めるようになり、ご飯も2~3部粥から慣れて行って、3ヶ月目には全粥が食べられるようになり、即退院しても良いということになりました。退院後1ヶ月で普通のご飯を食べられるようになりました。

 一番困ったのは、ミカンなどの柑橘類を受け付けなかったこと、刺激物は全然食べられなかったことで、柔らかくしないといけないということで、増水とかプリンを食べていました。

 日にちが経つにつれて、家では氷枕などする必要もありませんでしたし、食事もできるようになり良かったと思っています。

 薬としてもらったのは、歯を清潔にする薬(「ハチアジ」)です。これは今でも食事のあと、必ず口を洗うのに使っています。外来診察の回数は、1年経過までは毎月1回、2年目からは2ヶ月に1回、3年目からは3ヶ月に1回になりました。 なおビールや酒はダメという事でした。

 それから後遺症のことですが、ちょうど2年目に「親知らず」が1本残っていて、そこに膿がたまり、口が開けづらくなり、口臭もするようになりました。それで主治医に診てもらったら、骨髄炎の可能性があるということでO歯科大学を紹介してもらいました。「親知らず」が膿を出すようになったのですが、放射線の影響でそれが傷んで骨髄炎になっているということでした。それで、早速2日間抗生物質の点滴を受けました。とたんに膿も出なくなり治って来たのですが、先生が「顎の骨が、少しおかしいのではないか」と言うのです。そこでレントゲンで見てもらったら、骨が折れていました。これは放射線の後遺症だなということでした。声も出なかったのですが、1年半ほどで声も出るようになって来ました。

 放射線を当てたため、声が出ないということ、骨が折れやすいということ、それから、口がカラカラに渇くということ、昼間はお茶を飲みますが、夜寝てから口が渇くという後遺症も出て来ました。未だに夜は1回くらいお茶を口に含んだ方が寝やすいという状態です。

 それからPET検査ですが、検査の結果異常がないということが分かりました。これは前日に絶食して、当日ブドウ糖を注射してもらってCTと同じような方法で頭から股までを検査するものです。結果は、数日後成人病センターに報告されて主治医から報告を受けました。異常なしということでしたが、今でも年に1回は、MRIとか胃カメラで、食道癌・胃癌・十二指腸癌の検査を受けています。

 肺への転移がないかということでレントゲンや血液検査を半年に1回くらいの割合で受けています。放射線を受けて問題なのは、顎の骨がやられ、歯もやわくなり、現在下と上の奥歯が2本ずつ無いために、食事をするとご飯があちこちと動いて、食べにくいということがあります。

 しかしこれでは食事に1時間くらいかかります。増水にすると20~30分で終ります。最近は栄養を考えて、いろいろな増水にしてもらっています。その代わり冷める頃までかけると腹いっぱいになってしまうわけです。体重が入院する前に比べて7キロやせて、未だに幾ら食べても太りもしないし痩せもしないという情況です。歳をとると元に戻るのが難しいのではないか、と感じています。

 

私言い忘れましたが、ここに入院中に1日に2回くらい階段を上る訓練をしましたが、家に帰ったら階段を上ると足がだるく、これはダメだなということで、雨の日でも近くの緑地を最低 2000歩歩くようにしています。1ヶ月経った頃から足がだるくなることは、なくなりした。階段を何遍上がったり降りたりしてもダメで、やっぱり外を歩いて鍛えないとダメでした。そのついでに野良猫がいるので、それにエサをやるのが癒しになり、今でも続けています。

 以上私が経験したことと、そういう後遺症もあったという話をさせてもらいました。